奥の院


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みほとけも みかみもひかり やわらけく
  ちかひのふかき しらたきのさわ  ─ 奥の院詠歌 ─

奥の院のご本尊は三ヶ月不動明王。 当山で最も古く、洞窟の中には ”不滅の聖火”が燃えつづけています。
 今からおよそ八百年前の治承三年に、恵明道人は一匹の羚羊(かもしか)に導かれて、 はじめてこの地を訪れました。羚羊は口にしっかりと梵天をくわえていました。 白い岩壁にしみ込む滝の音が、行者を寂静の境地に誘います。 道人はしばしわれを忘れておりますと ”この地に不動明王を遷せ”という、厳かな、 はっきりとしたご宣託がありました。 ふと気がついたときには、さきほど道案内をしてくれた羚羊は消え去って、 そこに梵天だけが残されていました。 (当山で毎年二月に行われる歳祭りは「梵天祭り」ともいわれて、 数百の梵天が参道に立ち並ぶのは、この故事にちなんだものです。)
 その年の五月三日に、恵明道人によって奥の院の洞窟の中に「三ヶ月不動明王」が祀られ、 九字の聖火が燃え初めたのが当山のはじまりであります。 この「不滅の聖火」は平安のむかしから人々によって守り継がれ今もなお消えることなく洞窟の中に赫々と燃えつづけております。
「不滅の聖火」は中野不動尊のシンボルであり、人々のこころであるのです。
 洞窟の中には、中央に三ヶ月不動明王が祀られ、その両脇に「出世」「世直し」の不動明王が合祀されています。

* 羚羊 … 鹿の一種。かもししともいわれ、深山に生息する。 数が少なく天然記念物となっているが、中野の奥地ではいまも見かけることができる。
* 恵明道人 … 中野半明院の第三代住持。 半明院は道人を最後に、文治五年九月に兵火に遇って消失した。
* 梵天 … 祈祷に用いる一種の幣束。
* 九字 … お護摩の点火のときに唱える九つの祓呪。



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